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2019-07-25 (Thu)  19:58

中学1年生ブックトークテーマ『世界を広げる』

今日は中学校で4時間目の国語の時間、生徒の夏休みの宿題の選書のためのブックトークを学校図書館で。
本を紹介する単元があって、本を読んで画用紙にポップを書いてくる、それを2学期の国語の時間に紹介、というもの。
30分のブックトーク後に15分の本選び。
ブックトークの本と、図書館からのおすすめ本と学校図書館からのおすすめ本を一緒に展示して、そこから借りるようにした。

シナリオは

今日の流れは、小学校の時のみんなの本棚と同じように、前半私のブックトーク、残り時間を本を選ぶ時間、となります。
2学期に皆さんが授業で本を紹介する、ということなので、その時にみんなが「この本読んで良かったよ」って何かを伝えたい気持ちで取り組めるとすごくいいなと思って、今日は準備してきました。ブックトークでは、ただおいているだけでは手に取られない、だけれども中身はすごくいいよという本を、紹介しようと思います。

今日のブックトークのテーマは「世界を広げる」
私たちを取り巻く世界について、色んな状況にある人の心について、命についてみなさんが想像力を広げていける様な本を紹介します。

まず最初は、一つのことを色んな視点で考える本を紹介しましょう
8月6日8時15分  何がありましたか?
世界初の原子爆弾の投下ですね。
この原爆投下について、皆さんどう考えますか?
アメリカの8人の高校生が4対4でその是非をディベートします。
必要だったのか、間違いだったのか。

登場人物は日系、中国系、アイルランド系、ユダヤ系、アフリカ系、と様々です。
アメリカ側の資料で語られる歴史、それぞれのルーツに寄る立場からの言葉、その高校生達の議論の勝敗はどうなるのか、それぞれに事実を調べ始めた高校生たちに自分の気持ちや考えがのっかっていってのめり込む様な読書になると思いますし、色んな視点から考える、という経験になると思います
夏にぴったりの読書ですね。

この世界大戦の頃世界の人口は30億人いなかったのですが
今は70億といわれています。そのうち難民として知らない土地で暮らさなければならなくなった人は6500万人以上だそうです。これはおよそ100人に一人が難民となっていることになります。この数字を知ったとき、そんなにいるのかってびっくりしました。ニュースではよく見るけれども、日本は難民受け入れが少ないので、実感としてよくわかっていなかったんですね。そして難民の半分は18歳以下の子どもです。そのうちの何十万人が両親や兄弟と離れてひとりぼっちでにげているそうです。

皆さんが小学生時代、シリアの内戦が長引いて、難民のニュースも頻繁にあったので記憶にある人もいると思います。
そのころ、2015年、ドイツが難民受け入れの発表をしたことで
2015年から16年の間に、120万とも言われる難民が押し寄せました。ドイツの憲法には、ホロコーストを引き起こした反省から、どこの国の人かに関わらず政治的に迫害されている人は自分を守ってほしいとドイツ国家に申し込む権利があるということが書かれているそうです。けれども一気にたくさんの難民が入って来た、そのことでどんなことが起きたのでしょうか

この本はドイツで暮らす著者が、物語形式でドイツの難民事情について書いた物で、去年、学校図書館協議会が小学校高学年向けの「夏休みの本」として選んだ本です。文体が易しく読みやすいので見かけよりもサラサラと読めるかと思います。何より物語になっているので堅苦しくなく読めるのがいいですね。社会科好きな人このクラスにもいるでしょう。そんな人は特に色々感じることのある読書になると思いますよ

日本が初めて難民受け入れをしたのが、1970年代のベトナム戦争が終わるころだったのですが、多くのベトナムの難民はアメリカに移住しました。
著者がその時の体験を物語にした

10歳の少女の日記の形で大きく生活が変わった1年間が描かれます。少女の話し言葉に近い形で、何があって、どんなことを感じたのか、皆さんと年も近いですし共感を持って読めると思います

この物語は鈴木出版の海外児童文学「この地球を生きる子どもたち」というレーベルです。
今回のテーマ「世界を広げる」という内容でとてもいい作品をセレクトしているので、続けてこのレーベルの作品を4作紹介しますね。

次もアジアの国インドが舞台となります。
インド生まれの母親とアメリカ人の父を持つカリフォルニアの15歳の少女ジャズが主人公の物語です。

ジャズの母親はインドの孤児院で4歳まで育ちアメリカ人の夫婦に引き取られ育てられた人で、インドを援助するために、家族で彼女が育った孤児院を訪問することになりました。
ジャズは、片思い中の幼なじみスティーブとビジネスをやっています。高校1年生でビジネスってアメリカっぽいですね。

 朗読「スティーブは、ビジネスパートナーだけじゃない特別な存在だ。幼稚園以来の親友で、けんかしたこともなければ〜レスリングをしていた相手にだ」(4〜5)

どんどんかっこ良くなっていくスティーブに対して、小学校6年生で175センチにもなっちゃった自分の体格に「まるで女子プロレスラーだ」って強いコンプレックスを持っています。さらに助けるつもりでビジネスを手伝ってもらったホームレスの女性に裏切られて売り上げを持ち逃げされて、地元の雑誌にも書かれたことで自分には人を助ける力がないと気持ちが縮こまっている、そんな女の子です。

そんな彼女を、インドでの日々が大きく変えてくれます。
家族は孤児院からジャズと同じ年の女の子ダニタをお手伝いとして雇います。
2人は仲良くなっていくのですが、
ダニタがお金を貯めたいのには計画がありました。それは、自分でビジネスを起こして妹2人と一緒に暮らすということ
そのことを知っても人助けに臆病になっているジャズは、ダニタにビジネスのアドバイスをする自信がなく、ダニタをさけるようになります。
ところが、ダニタの結婚が決まりそうになりジャズはダニタに夢をあきらめて欲しくないと勇気を出して手助けしようとします。ダニタの結婚相手はティーンエイジャーの息子が3人もいるずっと年上の人です。貧しい女の子たちはこんなに若くて結婚を選ばざるをえないという社会
インドの身分制度や、育てられない子どもの出産、自立のための支援はどうしたら良いのか、など色々重いテーマを背景に描きながら
この女の子たちのビジネスへの挑戦がほんとにワクワクするの。
そして途中にたびたび挟まれる
スティーブとの恋の行方、手紙のやり取りも読みどころです。

イルカとかクジラ、好きなひといるかな。もしそうなら一気に物語に入り込みます

主人公のコービーは8歳の時に事故で片足を失い普段は義足です。お父さんが海の仕事で、コービーも自分で船を操ってよく海に出ています。網にがんじがらめになったゴンドウクジラを発見し、その網をほどいて助けるのですが、直後にクジラは赤ちゃんを産みます。びっくりして、でも嬉しくてニコニコしてそのシーンを見ていたコービーですが、
朗読
「次の瞬間ぎょっとした〜おぼれてる!」
(12)

壊れてしまいそうな家族の問題、障害をもっているということでの友だちとの関係、クジラの保護や環境問題についても感じることのある読書になるんじゃないかなと思います。

次はイギリスの児童養護施設で育った姉弟の物語なのですが、構成が見事で、衝撃と驚きと安堵がいっぺんに押し寄せてくる様なラストが待ってますよ。


最初、今日、というタイトルでの主人公ミラの言葉から始まります

朗読「これは 私の人生がひっくり返った時の物語だ〜人生は手に汗握ることの連続だった」
 
そして、25年前の子どもだったミラと弟の3年間の物語が始まります。

実は今日紹介する鈴木出版の本の中で個人的に一番心が揺さぶられたのが

1920年から1990年代のアメリカでの物語です。
映画を見てるんじゃないかって思える程の映像が私の中に生まれてきました。この物語全体を通して感じられたのは美しさです。主人公のピーティの宝石の様な心に私が魅せられたのだと思います。
しゃべれない、動けない脳性麻痺であったために重度の知的障害者と思われて一生を施設で終えた人です。
物語はピーティに知性を感じて交流する何人かの人たちとの出会いと別れが描かれます。そしてラストの奇跡の様な出会いはピーティの感動がダイレクトに読み手の心に伝わります。命の輝きとか大切さを強く感じる読書となりました。
この物語は実在の方をモデルにしているんだそうです。

日本のおすすめのレーベルも紹介しましょう
ポプラ社のteens' best selectionsというレーベル
このレーベルは学校生活を舞台に心の揺れや障害など描くものが多くて、主人公の心がみなさんの心に共鳴しやすくて登場人物と一緒に色んなことを感じる読書になる本が多いと思います。

その中から、去年の暮れから今年出版された2冊を紹介しましょう
今世界は監視社会に向ってます。あちこちにカメラがあるおかげで犯人が早くに特定されたりするニュースを皆さんもよく見るでしょう。
監視社会がもっと進んだ未来を描いた物語です。

理想教育モデル校という学校が作られました。そこは少人数クラスでハイテク設備、防犯カメラ、防犯マイク、それに、生徒達を密かに監視する人間とほとんど変わらないアンドロイドが紛れ込んでいます。顔も表情も、動きも普通の子どもと見分けがつかず、心も持ち合わせています。ただし、作られた心。
新しく出来たこの学校の6年生の教室で4人の男女が仲良くなりました。彼らはアンドロイド探しを始めます。クラスメイトで怪しいのはだれか。
やがて4人の仲間内でも疑心暗鬼になっていきます。
みなさんは、冷酷な人と、たとえ作られた心だとしても優しいアンドロイドなら、どちらを信用しますか?
この物語、最後まで読むと、ここで描かれた世界よりさらに先のかなり怖い未来を想像してしまいますが、皆さんは、どう考えるでしょうか
ちょっと聞いてみたい気がします。

ちょっとしたきっかけで、自分が生きることの崖っぷちにいるような気持ちになることがあります。
きっかけ、という意味のタイトル

中学2年生の音羽(とわ)と亜砂見は親友同士
最近「お醤油1リットル飲んだら死んじゃうってほんとかな」「死んだら、記憶って全部消えるのかな」そんな言葉が出てくるようになった亜砂見が突然家出します。実は亜砂見の家族には複雑な事情があって、そのことを初めて知った亜砂見は、「自分は何のために生まれてきたんだろう、」と自分の命への価値を見失ってしまったんです。
家出中の亜砂見と会えた音羽は、亜砂見を助けたい一心で行動をともにします。
行動の先にある物語は、胸が痛む状況なのですが
音羽は亜砂見と向き合う中で、こんな風に思います
朗読「どんなに絶望しても、苦しくても、悲しくてむなしいことだらけの今だったとしても、あたしたちにはまだみえていない未来がある」
どんなに不安定な場所にいても、明るい方へ一歩を踏み出そうとする2人の少女、苦しい時に救い合える友人関係を作れたら、それは相手のために一生懸命になれる自分になれることが必要なのですが、いいなあと思いました。
いとうみくさんは私が今かなり押している作家さんです。
厳しい現実を描きながら、その中でどう光を見つけていくかが書かれているんです。
殺人事件のニュースは時々ありますね。殺人者に家族がいることもあるでしょう。子どもがいることもあるでしょう。そんな家族が描かれた物語

主人公は中学3年生の男の子です。
ごく普通の慌ただしい朝の風景から始まって、いきなり警察の訪問で父親が任意同行されます。
まさかの殺人事件での逮捕となる父親。
家族の環境は一転し、逃げるように祖父母の元へ引っ越し転校します。
ただひたすら父の犯した罪に震える長男の心が、学校でのこと、友人とのことを通して描かれていきます。
自分の存在は父親の罪とは別という思い、かっとなりやすい自分の性格と父との血のつながりを恐れる気持ち、人殺しの家族と気づかれないように暮らすこと。
この少年が、どんなことを経験して、どんな思いで心を未来に向けていくことができるようになるのか、が描かれています

日本の子どもの貧困問題を描いた作品として評価を受けて、児童文学者協会賞を今年とった作品なんですが、私はこの物語は学ぶということの価値を教えてくれる作品だなとも思いました。

有名進学校に行ったんだけれどついていけなくて中3で公立中学に転校した裕福な少年和真と、父親を亡くし、母は精神障害で働けず、生活保護で暮らしている少女樹希(いつき)が主人公です。
いつきは生活保護を受けているという劣等感と貧しさで未来への夢をあきらめかけているのですが、本当に中学生にはどうしようもないことなのでしょうか。
理不尽さに、和馬は生活保護について色々調べ始めます。調べるうちに裏技とか例外があって樹希が進学できる方法を見つけます。
制度は知らなければ確実に損をする、ということに気づくのですが、知るということが、知識が他の人の人生を変える程の力になる、ということを知るんだよね。今みんなが勉強するということ、それは自分のためだけではなくて、未来の誰かの人生を助ける力となるものだということなんですね
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最終更新日 : 2019-07-25

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