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Top Page › た行の作家 › 『線は僕を描く』
2019-11-04 (Mon)  14:57

『線は僕を描く』


☆☆☆
内容紹介
小説の向こうに絵が見える! 美しさに涙あふれる読書体験

両親を交通事故で失い、喪失感の中にあった大学生の青山霜介は、アルバイト先の展覧会場で水墨画の巨匠・篠田湖山と出会う。なぜか湖山に気に入られ、その場で内弟子にされてしまう霜介。それに反発した湖山の孫・千瑛は、翌年の「湖山賞」をかけて霜介と勝負すると宣言する。
水墨画とは、筆先から生みだされる「線」の芸術。
描くのは「命」。
はじめての水墨画に戸惑いながらも魅了されていく霜介は、線を描くことで次第に恢復していく。

絶賛の声、続々!!!

自分の輪郭を掴む、というのは青春小説の王道たるテーマと言っていい。それを著者は、線が輪郭となり世界を構成する水墨画と見事に重ね合わせてみせた。こんな方法があったのか。
青春小説と芸術小説が最高の形で融合した一冊である。強く推す。
――大矢博子(書評家)

水墨画という非言語の芸術分野を題材にした小説で、架空の登場人物が手にした人生とアートの関係性、時空をも越えたコミュニケーションにまつわる真理を、反発心や違和感など一ミリも感じることなく、深い納得を抱いて受け取ることができた。それって、当たり前のことじゃない。一流の作家だけが成し遂げることのできる、奇跡の感触がここにある。
――吉田大助(ライター)

蜜蜂と遠雷を読んだ時に、こんな風に言葉で音楽を奏でられるんだと、それぞれのキャラクターを映す言葉の音に惹かれたけれど、こちらも水墨画という余馴染みのない世界がその静けさや色や匂いを感じる程の言葉で描かれていた。
たまたま出会った水墨画に清々しい、何か心にしっくり来る感じを覚えて、感じるままに感想を言う青山を水墨画の巨匠湖山が気に入って、その場で内弟子に、という、素人がいきなり玄人の世界に引っぱりこまれる導入。
湖山先生の孫娘千瑛と青山が翌年の湖山賞の審査で二人が競う無謀な約束

湖山先生の指導はシンプル。そして青山は描くことを楽しいと感じる。

「君は今日挑戦した」
「水墨の本質は楽しさだよ。挑戦と失敗を繰り返して楽しさを生んでいくのが、絵を描くことだ。」
(P53)

たった一本線をひいたもの、それが青々とした草に見え、風まで感じる。そこに生まれる命。

のめり込むように部屋でひたすら描く青山。
両親の死で立ち止まってしまった自分と、自分の手から生み出されようとする命と。
描くことで自分の外にある世界を感じられるようになる青山

水墨画は線の芸術。線を極小にすれば点、線を極大化すれば面。だからこそ一筆でさえ美しくという湖山先生

最後に湖山賞の発表もあるのだけれど
物語として盛り上がりには欠けるけれど
水墨画についてはかなり興味を持たせる
実際に色々見たくなる

自分の周りにあふれている自然の命と、自分の命が呼応していくことで、閉ざされた心が回復していくのが良かった。

青山の一途さ、真面目さがすごくいい。エネルギーをもらえる感じ。
若い人にとてもおすすめ。

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最終更新日 : 2019-11-04

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