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Top Page › か行の作家 › 『百花』川村元気
2020-01-01 (Wed)  19:17

『百花』川村元気


☆☆☆+
【内容紹介】
大晦日、実家に帰ると母がいなかった。
息子の泉は、夜の公園でブランコに乗った母・百合子を見つける。
それは母が息子を忘れていく日々の始まりだった。

認知症と診断され、徐々に息子を忘れていく母を介護しながら、泉は母との思い出を蘇らせていく。
ふたりで生きてきた親子には、どうしても忘れることができない出来事があった。
母の記憶が失われていくなかで、泉は思い出す。
あのとき「一度、母を失った」ことを。
泉は封印されていた過去に、手をのばすーー。

現代において、失われていくもの、残り続けるものとは何か。
すべてを忘れていく母が、思い出させてくれたこととは何か。

認知症を発症した家族、それもシングルマザー、母と一人息子の。

私が認知症と診断されたら、どうするだろう。

百合子は多分、自分で医者に行って診断されたとき
何度も息子に電話をかけて
話そうと思っても話すことができなかった。

私も子どもに伝えようとするだろうか
それとも確実に壊れていく自分のために、
社会を頼って動く事は出来るだろうか

百合子が医者に行ったのは、息子の泉と一緒に病院に行く半年も前。
だから泉が気づいて一緒に病院に行ったときは、少しホッとする気持ちもあったかもしれない。
とにかく、彼女は頑張ってきたから。泉の母として。

ただこの親子にとって、触れたくない一年間の記憶がある。
それは
かなり親子にとって重い事実で。
自分のために生きたいと思う人と出会ってしまった事。

記憶を失っていくという事は、自分を支えている物が少しずつ外れていくようなものかもしれない。
失っていく、と見えてもほんとは奥深くにあって、不意に出てくる事もある
百合子が思い出すささやかな親子の記憶。
泉が思い出す記憶、その重なり。
それは名前とか年とか、何をやっているかとか、生きるために必要な記憶ではないけれど
その人がその人であるための、大事な記憶

認知症は、リアルにたくさんの人に関係することなので
この物語は、当事者、家族にはたぶん重い物語
だけれど、覚悟を考えるものともなる。
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最終更新日 : 2020-01-01

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