FC2ブログ

「ザリガニの鳴くところ」ディーリア・オーエンズ


☆☆☆☆☆
内容(「BOOK」データベースより)
ノース・カロライナ州の湿地で男の死体が発見された。人々は「湿地の少女」に疑いの目を向ける。6歳で家族に見捨てられたときから、カイアは湿地の小屋でたったひとり生きなければならなかった。読み書きを教えてくれた少年テイトに恋心を抱くが、彼は大学進学のため彼女のもとを去ってゆく。以来、村の人々に「湿地の少女」と呼ばれ蔑まれながらも、彼女は生き物が自然のままに生きる「ザリガニの鳴くところ」へと思いをはせて静かに暮らしていた。しかしあるとき、村の裕福な青年チェイスが彼女に近づく…みずみずしい自然に抱かれて生きる少女の成長と不審死事件が絡み合い、思いもよらぬ結末へと物語が動き出す。全米500万部突破、感動と驚愕のベストセラー。
少女の深い孤独、寂しさ、
父親の暴力に母が、兄弟が一人ずつ家を出て行く 
家族に置いていかれる絶望

少女の成長と交互に語られるのは
1969年10月の事件。村の自慢のクォータバックのスター選手ハンサムなチェイスの死体が沼地で発見される。事件か事故か。
チェイスの服に付着していた赤い毛羽だった糸。それと同じ毛の帽子がカイアの部屋で見つかった事
チェイスが沼地の少女とつきあっていた事
いつもつけていたペンダントが彼女からのプレゼントであった事。それが失われている事。
エビ漁師が、チェイスが死んだ深夜、湿地の少女がボートで事件現場の方へ向っていたという証言

1952年、たった7つで何日も家に帰ってこないような父とふたりきりになったカイア。
たった一人で、町へ買い物へ行き、食事を作り、洗濯をする。
父のベッドを整え、掃き清め、皿を洗う。戻ってくる母さんのために。
父が数日留守にした日、カイアは初めて一人でボートに乗る。
水路をあちこち抜け、戻ろうとして帰り道の水路がわからなくなりパニックになりそうな時にボートに乗ってつりをしていた11〜12歳の少年テイトが声をかけてくれた。
彼は兄のジョディの友だちで、小さい頃カイアにあったことがあると、家の近く前まで導びく。
テイトは父親と二人暮らしで母と妹を事故で失っている。

1956年カイアが10歳になった冬、とうとう父親も帰ってこなかった。
カイアは、貝を掘り、燃料や釣り餌を扱う船着き場の上に建つジャンピンの店へ。
貝を売って、ガソリンとお金を得るために。
ジャンピンはこの後ずっと妻メイベルとともにカイアをそっと見守り続ける。
ジャンピンは黒人で、このころ人種差別が当たり前にある。
カイアの作る貧相な魚の薫製も引き取り、カイアには、必要なものと交換してくれる家族がいると説明して彼女のサイズを測り、野菜の種を分け作り方を教える。
幼い少女が一人で生きていこうとする痛々しさ、けれどそこにジャンピン夫婦のような人が寄り添っていて良かった。

1960年、14歳になったある日、現れた男の子から身を隠してしばらくして空き地の木の株に真っすぐ立つオオアオサギの眉を見つける。カイアは、それを今まで集めて壁に止めている羽のコレクションに。そして翌日も同じ場所に、今度はこの辺りでは生息していないネッタイチョウの尾羽。
カイアは文字は書けなかったが、集めた標本に絵でラベルをつけていた。
カイアもお返しをとハクトウワシの尾羽を置いてくる。
すると翌日はゴイサギの頭の飾り羽の他に牛乳パックがあって、その中に、野菜の種、ボートのエンジン用の点火プラグ。そしてメモ。カイアは読めない。
羽の交換相手は18歳くらいになったテイト
テイトはカイアに読み書きを教えるようになる
文字と数字を覚えて、家の古い聖書に書かれている家族の名前と誕生日を初めて読んだシーンはカイアの感動が伝わってくる。忘れていた兄弟の名前、初めて知った正しい両親の名前。
テイトは生物の本と一緒に、女の子の生理についてのパンフレットをいれたり。
カイアが初めて生理になった翌日、ケーキを持って現れるテイト
15歳の誕生日にも。
テイトは湿地の生物に着いて勉強し大学に合格する
必ず戻ってくる。置き去りにはしないと旅立つが

1961年、約束の日、一日中外で待つカイアの元にテイトは来ない
カイアは標本を採集し、絵を描く
コレクションは洗練され、目、属、種、等規則に沿って分類され、年齢やサイズで分類される。
実は、テイトは戻っていたのだが引き返してしまっていたのだ。

結局テイトは彼女を置き去りにしてしまったけれども、彼が彼女に文字を教え、カイアが本を読めるようになって良かった。
彼女が採集し、観察する沼地の自然をさらに学べるようになったから。
湿地の生き物達が鮮やかに描かれる。貧しさとけれど豊かで美しい自然を感じるカイアの心と眼。

1965年 孤独を募らせ19歳になったカイアが見つめるのはチェイス
カイアはチェイスとつきあううちに次第に彼の友人達と一緒にいることを夢想するようになる。

1966年チェイスは結婚をちらつかせカイアを旅行に誘いだす。
一方テイトは3年で大学院を修了出来、地元に政府の研究所が建設される予定で、そこに雇われる可能性は高い、という所までなり、数年でカイアの住む湿地でカイアと結婚も出来る、という思いをもつが、チェイスとカイアが一緒にいるのを見て引き返す。ところがクリスマスのダンスパーティでチェイスが友人達に
「彼女は罠にかかった女狐みたいにワイルドさ。いかにも湿地のじゃじゃ馬って感じだよ。」という言うのを聞き、
カイアに会いにいく。
カイアは戻ると言って戻らなかったデイトを許さないが、テイトはカイアの素晴らしいコレクションを見て本を出さないか、出版社を探して聞いてみる、そうすれば二度と貝を掘らなくても住むと見本を持ち帰る。カイアが自力で生きられるように。
テイトよりもチェイスを信じようとしたカイアだったが町で買った新聞でチェイスの結婚を知る。

カイア自身、自分が嘆いているのはチェイスを失ったことではないとわかっていた。辛いのは、幾度もの拒絶によって自分の人生が決められてきたという現実なのだ

1968年、カイアの本が出版され、見本版が郵便受けにおくられて前金5000ドルを手にする。
例の研究所に勤めるテイトにカイアはお礼の手紙を書き、本を渡したいので立ち寄って下さいと書き添える
冬、カイアをたずねてきたのは軍人となったすぐ上の兄ジョディ
妹の本を見つけ、探そうとまずは此の家に来たという。母が2年前に死んだ事。母の姉妹が2週間前ようやくジョディの居場所を突き止め、母が実家に戻ってすぐは誰ともしゃべらなかった事、一年後子供を連れ帰りたいと書いた手紙を送ったがそれを読んだ父親がもし子供に連絡を取ったら子供達の顔がわからなくなる程殴ってやると書送り、その後母親は誰とも関わろうとせずに白血病で一切の治療を拒んでなくなったことを知ったこと。
ジョディは母の描いた絵を持ってきた。その中には兄弟達の姿。そして一枚は3歳くらいの女の子ともう少し上の男の子テイトが描かれていた

1969年8月、カイアはチェイスと遭遇する。「お前はおれのものなんだ」と殴られ押さえつけられるが、必死の抵抗で逃げ出す。
クリスマスも近くなったある日、カイアは逮捕される


裁判は、貧しい地区に住む人、沼地で一人住む少女への差別や偏見を暴きだす。


ザリガニの鳴く所・・生き物達が自然のままの姿で生きている場所

テイトが来なくなって、ジャンピンから図書館の事をきいたカイアは本を借りさらに知識を得ていくのだが、
図書館が、差別の社会に会っても公平な場所として描かれていて、図書館っていいなあと改めて思う

過酷な状況での少女の成長と、家族、差別、恋、裁判の行方、ラストの驚き
最後までほんとに心に残る物語。
関連記事
スポンサーサイト



0 Comments