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中学校1年ブックトーク『ひみつ』

今週15日に中学1年生に国語下授業でブックトークをした。
子どもたちが本の紹介をする、という単元があって、
そのための本選びのためのブックトーク、という依頼。
今回は小説を読ませたい、という国語科教諭の希望で
すべて小説で構成した。

教科の課題としてこなさなければならない生徒達に、
少しでも面白そう、という読む前の動機付けとなるよう
選べない生徒が出ないよう
ブックトークの他にも、事前にブックレビューを配布して
レビューされた60冊程の中から、生徒が読みたい本にチェックしてもらったものを
回収して、それぞれにその本が渡るようにしたり
その他のおすすめ本を詰めて、全部で120冊程の本を30人の学級に文庫として入るようにした。

シナリオ(30分)
みつきの雪

高校卒業前日に語られるみつきとゆきとの物語です。
二人は小さな村の小中学校出身です。
ゆきとは、山村留学生として小学校五年の冬にやってきました。
その時5年生はみつきだけだったので、二人だけのどうきゅうせいとして中学までそだちJRで通える町の同じ高校に進学します。
卒業式の予行演習が終わってゆきとに声をかけられ二人で帰りの電車に乗ります。
「ふたりきりで帰るなんていつ以来だろう?いつ以来でも、これが最後になるのは確実だ。
あした、私は高校を卒業する。同じく隣にいるゆきとも」

こうして物語ははじまり、帰り道二人は地元の中学校の図書室に入ります
「もう一度見ておきたかったんだ、ここ。・・・引っ越す前に」という行人と二人で。
この間に二人の思い出が入ってきます、
5年生でゆきとが村の小学校に入ってきたときの様子とか、
友だちになっても、山村留学は普通2年間って決まってるから、出て行く人で帰ってくる人にはならないと、親しくなるのを警戒していた自分のこととか、中学校卒業の年図書室で二人で作業中にみつきが大けがをしてしまった事とか
二人は高校では一緒のクラスになることはなかったんだけど、一年生のときの合唱コンクールの後、行人はピアノ伴奏を担当して、伴奏者賞をもらったにもかかわらず体育館の通用口の所で一人うつむいて座っていた行人を見つけて、そばに寄ります。ゆきとは一人震えていたのです。今まで知らなかった彼を見てしまったこと、
今卒業を前にゆきとは大学の医学部に進学が決まっています。
なぜ彼が家族と離れて此の村に居続けて、医学部の進学を目指したのか、そこには彼の秘めた強い思いがあって、そういった事も強く心に響く作品です。
二人がとてもいい関係で成長していっている様子そして未来に向かう様子ががとてもいいなあって思いました。

未来をたぐり寄せるのは自分自身の手、というような事が描かれた物語を紹介しましょう。得意な事もやりたい事も特にない、どこを目指せばいいかわからない中学生の女の子が、未来を考えるようになるまで
「てのひらに未来」

琴葉が小学5年生の時15歳の少年天馬が、連れられてきて、琴葉の父親の経営する工場で住み込みで働くことになります。
琴葉の父の会社は医療機器から宇宙航空関連の部品まで色々な精密部品をつくる会社です。
天馬が、15歳で父の工場に来たのには、大きな秘密があって
彼の家族の事は、過去の戦争、違う民族について、憎しみについて、平和について読む人も考えさせられるものだったんですね。
天馬は琴葉の父親をすごく尊敬していて、技術をつけて自分の工場を持ちたいと夢を持つ天馬でしたが、色んな事があって、琴葉の家を離れる決心をします。
一方色んな事を見て聞いて考えた琴葉は
p194 「だからわたしは考えた〜

応援したくなるような爽やかな恋を絡めて、とてもいい物語でした。

次は一転ハラハラドキドキの物語を紹介しましょう
『秘密をもてないわたし』

主人公の14歳のジェマは脳性麻痺で、体が動けない、話す事もできない女の子です。
ジェマに話しても秘密が漏れる事がないと、時々秘密を打ち明けられます。そんなジェマに近所の青年の殺人を告げたのはジェマの介護ヘルパーの恋人。家族にもいい青年と思われているその人のことをいいたいのにいえない。その人を恐れる気持ちに一緒にドキドキしてもどかしくて、どう解決していくのか一気読みの本でした。

ドキドキする、と言えばこちらも「どうなるの?」という場面満載な物語です
『お面屋たまよし』

普段は村々のお祭りを回って、「お面屋たまよし」という名でお面を売っている二人の少年たち。
実は裏の名前があって、「魔縁堂」という名前で
不思議な力を持つお面を売っています。それはその面を着けるとその人のなりたい姿になれるんです。
なりたい姿になれる、魅力的だよね
その面を買う条件というのがあって、これはある結果を受け入れられるかどうか、ということ
ある結果とは、妖面は使った人の心と深く結びつき、その結果面を外せなくなる人がいるんです。心が負の感情に傾くと
はずせなくなって、人ではない存在になってしまいます。面の売り手は面を売った責任を取るという形で、その人を消滅させる、ということなんです
此の本にはそれを引き受けて買った人たちの物語が4つ入ってます。

次の主人公は女の子二人

小学6年生、二人の女の子がお互いの秘密を知って、大切な友だちとなっていく物語です。

お下げ髪の女の子小夜子はクラスの誰ともしゃべりません
彼女がおしゃべりする相手は いつも側にいる黒猫だけです。
そんな小夜子のクラスにやってきた転校生はやたら軽くて、誰にでも気軽に声をかけるのびのびした女の子っていうキャラのあくるちゃん。肩までの髪の毛は所々細い三つ編みにしてビーズで飾ってあります。
転校初日、登校中の小夜子を見つけて声をかけます
「あんた6年生?だったら嬉しいんだけど」
「そうだけど」という小夜子にどんどん話しかけるんですが、
小夜子は何もしゃべらない
「ねえねえ、返事してよ。あたしばっかり話してるのぷーじゃん。プー!」
ぷーってなんだろう。どっかの方言?
「あ、これが俗にいう無視ですか。いじめってやつ!いやあ、あたしいじめられちゃったよ。かなしいなあ。でも名前くらい教えてくれてもいいんじゃない?」
それに対して小夜子は
「私は倉木小夜子。あなとと友だちになる気はないわ」と
冷たい声で言い放ちます

この相性悪そうな二人が親友になっていくんですよね、
こんな明るすぎるあくるは特殊な能力を持っていて、人を触るとその人の感情が見えてしまう。その能力は知られると絶対気持ち悪がられるし友だちを失う事になると絶対秘密にしている事なんですね。でもあくるはその能力を使って家族や友だちに気を使ってばかりいるような子なんですね。
此の二人がお互いの秘密を知る事になって、助けを求める小夜子をあくるは命がけで助けようとします。
どんな出来事が待っているんでしょうか
此の物語には黒猫という大事なキャラクターがいるんですが
ちょっとびっくりで嬉しいラストが待っているので、ドキドキしながら楽しんで読んでもらえる本かなと思います

『YA!アンソロジー 秘密』

この本は、秘密という共通のテーマで、5人の作家が中学生を主人公に物語を書いています。
  
一つ紹介しましょう。陣崎草子さんの書いた秘密は
「咲き誇れ」
 
最初の1文は枡野浩一さん(他の本紹介)のこんな短歌

 だれからも愛されないということの自由気ままを誇りつつ咲け
こんな短歌が心にぐさっと来ちゃう主人公は浅川朱里13歳

彼女は学校の図書室で何度もかりている短歌の本があって、あるとき、それを開くとノートのきれっぱしでこんな走り書きが
 
なぜ生きる なんてたずねて欲しそうな戦力外の詩的なおまえ

短歌なんてマイナーな本読む中学生が他にもいるなんて、って驚き、そして冷や水をかけられた様な気分になります
「戦力外のおまえ」ってこれあたしのことだって〜本当は・・(153)

そして彼女は心に浮かんだ歌を書いた紙をその本にはさみます。
それから5日後、その紙がなくなっていました。
どんな人がとっていったんでしょう
そして数日後、その本に彼女の歌への返歌が挟まっていたのです。
さらにそこには名前が書いてあって、その名前は彼女がいつも見ている短歌のサイトでよく見る名前だったのです。

「あたしはドキドキしているのだ。だってたまたま短歌にであった事。たまたま借りた本。そこに挟まれていた歌。その歌を詠んだ人がちょっとした有名人かもしれないこと。そういう事全部、なんかすごい。」
二人の密かな短歌の交信が始まります。
読み進めていくと、二人の辛い秘密を知る事になります。

『虹いろ図書館のへびおとこ』

この本、本好きさんの心がくすぐられます。
この物語にはたくさんの本が登場します。
後ろに此の本に出てきた本のリストがあるんだけど
「どろんこハリー」「ぐりとぐら」「ねずみくんのチョッキ」
そして絶対みんな知ってる「スイミー」このスイミーがお話の中でいい仕事してるんだよね。それだけでもどういうこと?って思うでしょ
舞台は図書館。
実際作者は公立図書館の司書さんだそうです。
図書館には
「図書館の自由に関する宣言」というのがあって図書館の考え方の基本になっているのですが、
とくにその中にある
「図書館は利用者の秘密を守る」というのがあってこその物語となっている。

いじめがきっかけで6年生のほのかがたどり着いたのが図書館。

お父さんが急に仕事が変わってひっこし、転校。お母さんはずっと入院しています。
クラスの中心女子の機嫌を損ねた翌日から
椅子にボンド、とか上履き隠しとか、机や椅子が消えてる、とか良くあるいじめが始まりました。
しかもその女子が、お父さんの新しい仕事場のパワハラ満開の上司の娘だったのです。
ほのかが選んだのは先生に言うでもなく、親に言う、でもなく、誰にも言わず学校に行かない、という方法でした。
うろつき回ってたどり着いたのが図書館
図書館には、へびおとこがいる
顔の右半分が緑色。右手の甲も。深緑からエメラルドグリーンまで混じり合って細かくごつごつしてて。
実は彼は素敵な図書館員イヌガミさん。
ほのかは毎日図書館へランドセルを持って通うようになります。
やがて、お父さんや先生に知られる事にはなるのですが
無理に連れ戻す、という解決策ではないんです。図書館という場が一時、子供達の心を回復させる場となる物語です
イヌガミさんは痣のせいで辛い思いをしてきた人のようなのですが
最後にほのかとの会話からのイヌガミさんの言葉を皆さんに贈ります。
「人っていうのは怖がりな動物だ。自分と違うもの、知らないものは怖いと思う。だから人は時々、相手のことをいやがったり、強がって意地悪したりしてしまうのかもね。〜

「そういうのを、ちょっとカッコつけた言葉で、『真理がわれらを自由にする』っていうんだ。国立国会図書館の壁に掲げてある」

私たちの心を自由にしてくれる真理を知る事の一つが読書だと
私も思います。
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