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『僕は人を殺したかもしれないが、それでも君のために描く』桐衣朝子


昨日、僕は人を殺してしまったかもしれない――
「強迫性障害」を抱える島津圭司は、毎晩恐怖に襲われ目を覚ます。今日も気づかないうちに、自分が誰かの「死」の原因を作ってしまったのではないか……。日常生活も人付き合いも苦手な圭司にできることはただ一つ、絵を描くこと。だから、生きている限り、今日も漫画を描くしかない。

あるとき、事故に巻き込まれ搬送された病院の裏庭で、圭司は透き通るような肌の青年・藤堂星矢に出会う。社会や人との接触を忌み嫌ってきた圭司だったが、「僕がファン第1号になる」という星矢の言葉に背中を押され、漫画家としてのキャリアと向き合うようになる。初めての連載、自宅で雇う初めてのアシスタント、助けてくれた救急救命士の女性への、初めての恋。自身の障害のせいで、圭司は行く先々で壁にぶつかってしまう。一つずつ挑んでいった先に、圭司を待ち受けていたものとは。そして、十歳で死んでしまった弟・龍二に最後にかけた言葉を悔やむ圭司が、十五年経った今、見つけた真実とは……。

生きづらさを抱えて生きるすべての人へ。大切なものを喪っても、生きている限り春はやって来る。涙なしには読めない、感動の人生讃歌!
強迫性障害を描いたものに、ぼくはO.C.ダニエルがあって、その物語でその辛さがとてもリアルに描かれていたのだけれど、この物語でも親にも理解してもらえない強迫性障害の生き辛さが描かれていて
主人公の圭司は、自分は人の役にも立たず、自分を必要とする人もいなくて、誰ひとり幸せに出来ないと、自分に自信がない
そんな圭司が、自分の作品を待っている人に出会い、自分を手伝ってくれる仲間を持ち、恋をする

画材を買いにいった店が火災となり、外階段から逃げようとした所で階段を踏み外し救急車で病院に搬送された圭司。病院の裏庭で毎日会うようになった漫画好きの青年藤堂君の期待に応えたいと、退院後連載案を練る。救急搬送されたときの女性救命士を思い出し、主人公を救急救命士とし、自分がリアリティをもって描けるものとしてヒロインを強迫性障害としたのだ。
その設定で初めての連載が決まったが、雑誌の読者が2万人もいることに怖さを感じる圭司。けれど藤堂君の「俺のためだけに描いてよ」と言葉に心が軽くなる
消防署の取材に行くと、そこには漫画の主人公の切っ掛けとなった圭司が救急車に乗ったときの救急救命士赤木まりあがいて彼女が取材担当となる

連載が決まって集まったアシスタントは3人
 パンクな外見の東雲隼人、漫画の専門学校を出ている金髪空色の目の岩間多代、難関美大の4年生冨小路由明(とみのこうじよしあき)
圭司は障害を隠しているが冨小路くんが子猫を拾ってきた事で圭司は大パニック
3人に障害の事を話すも、障害を理解してもらうのは不可能とあきらめていた圭司は一からやり直したいと3人をやめさせようと考えたが、次の日現れた3人は、仕事場に着いたら着替えられるようにとか消毒液とか除菌シートを持ってきて、強迫性障害の僕が少しでも気持ちよく過ごせるようにと色々考えてくれる。圭司の障害を理解しようと努力する3人を見てこの3人で続けていく決意をする。
この3人が圭司を支える良い仲間となって
漫画を作る現場の意欲や活気が伝わってくる

藤堂君については、そうかなーと予想はしていたけど
ちょっと強引な感じもする。
薔薇とビスケットでも、介護現場での老人達の人生に主人公がタイムトリップして関わっていく設定があったのだけれど、あちらは必然って感じたのにな、それだけがちょっと残念。

障害を抱えているために人生に諦めのような気持ちを持っていた圭司が新たな人との関係で少しずつ広げていく様子や、アシスタント達との関係のあたたかさや、臆病な恋愛を少しずつ進めていく幸せ感がとても良かった。
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