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小学校6年生国語「きつねの窓」授業支援ブックトーク テーマ「安房直子さんの不思議な世界」

教育出版の6年生国語で「きつねの窓」がある。
この授業の1時間目に、作者の作品紹介で並行読書を進めたいという担任教諭の希望で行ったもの。
30分のトークと15分の子供たちの読書タイム、を組み合わせた1コマ授業に。

作者の安房直子さんの物語は
独特な特徴があります。


異世界への誘いのうまさ、
命について(生と死)の語り、そこから感じる寂しさや切なさ
クスッと笑えるそして幸せ感じるユーモア
豊かに描かれる自然の中の可愛らしい生き物たち
印象的な色(青、赤、黄色)や音、匂い
どうなるの?と先が気になる展開の妙

いくつかの作品からそういったことを
少しでも感じ取れるよう
シナリオ作りました。

所々朗読を入れて、作品の世界を味わえるよう。

以下シナリオです。
教科書で安房直子さんの「きつねの窓」を皆さんこれから読んでいく事になりますが、今日は安房直子さんの不思議な世界を紹介していきます
安房さんの描く世界は主人公が現実の世界からふっと異世界へ迷いこんでしまうというというというのが特徴で、それがとても幻想的なんですね。実際にはないんだけれどももしかしたらあるんじゃないかって思えるような幻の世界に連れて行かれちゃうんだよね
「きつねの窓」で見てみましょう
物語の始まりの方で主人公は違う世界へ迷い込みます
<本文朗読>
道をひとつまがったとき、ふと、空がとても眩しいと思いました・・・・地面もなんだかうっすらと青いのでした。

そうして彼の前に「そめもの桔梗や」というお店が現れ、そこで不思議な体験をします。物語はさらに続き、この男の寂しさを感じるようなラストへと向います。

安房さんの作品には、寂しさを感じるものが多くて、それは命について、生と死について描かれているからではないかと思います。
命は読み手誰もがもっているもの、それは死とセットになっていてそう言ったところが読み手の心に響くんですね

こういった寂しさといった感覚を持った作品
例えば「雪窓」は妻と幼い娘となくした男の前に現れた娘が成長した自分の娘ではないかと追いかけてしまうお話ですし、
「さんしょっこ」はさんしょの木の精が人間の男の子にかなわぬ恋をする物語です。


とってもユーモアがあってくすっと笑えるような、
お皿から絵だったアヒルが飛び出しちゃう「グラタンおばあさんとまほうのアヒル」や「ねこの結婚式」

「ゆめみるトランク」は、楽しくてちょっと幸せな気持ちになる作品です。

可愛らしい生き物が出てくるものも多くて
「くまの楽器店」や「ねずみのつくったあさごはん」はなんてかわいいのって思います


多くの作品が豊かな自然のなかで物語が展開するのですが、色や匂いや音を感じさせる情景描写が印象的で、そういう所も楽しめる作家さんです。
特に青い色それから赤や黄色を鮮やかに感じると思います。成長期で背がぐんぐん伸びている人もいますが、心も大きく育つときだと思います。安房さんの物語は皆さんの感性をぐっと豊かにしてくれるんじゃないかなと思います。

実際どんな物語なのか
安房さんの描く不思議でドキドキするようなお話を中身を詳しく紹介したいと思います。

『花のにおう町』
この本には6つのお話が入っていて
1つ目にある「小鳥とばら」というお話を紹介します。

「小鳥とばら」
みなさんバトミントンしてあそぶことありますよね
二人の少女がバトミントンをしていました。
でも羽を受け損なって、よその家の生け垣の中に入ってしまいます。
隙間を見つけた少女はそこから入ります。

<本文朗読>
するりと生け垣の内側に入る事ができたのでした。
不思議な庭に入り込んだ少女は、生垣の内側にぺたりと座ってこの別世界を見つめました。


そこは海の底のような静かな大きな森だったのです。
なんだか不安になって少女は早く見つけて外に出たいと思い歩き出しました。
そして枝に引っかかっている白い羽をみたのです。
「あったあった、あんなところに」
そう叫んだ時、その羽がぴくりと動きました。
風が吹いた?

<本文朗読>
ところが羽はふわりと 宙にとびあがったのです。
バドミントンの白い羽は、一羽のことりになって飛んでいくのです。



少女は、こわくて急いで帰らなきゃ、とおもうのですが、
自分の足を止める事ができません。操り人形のように
不思議な力に操られて鳥を追いかけます。
きがつくと森の中は赤い薔薇が咲き誇っていて
そこを白い鳥は高くなったり低くなったりして飛んでいます。
少女が追いかけています
想像出来ますね

突然
ダーンと銃声がきこえて、飛んでいた鳥がぱたりとこけの上に落ちました。
少女は棒のように立ち止まります

<本文朗読>
鳥が、撃ち落とされた・・・あれはバトミントンの羽なのに・・血なんか流して


そう白い鳥の胸から一筋真っ赤な血がながれています。

皆さんがこの少女だったらどう?・・なんだか怖いですね

そこにひょいとひ弱そうな男の子が現れます。
青いセーターを着て、青いズボンをはき、黒光りする銃を持っていました
少年はかがんで鳥の足をひょいとつかむといかにも楽しそうに言ったのです。

<本文朗読>
「一緒に食べるかい?」
「この鳥、そりゃあうまいんだ。僕の母さんがパイに入れてくれるから、食べるかい?」
そういうともう背中を向けて歩き始めたのです。
その後を追いかけながら
少女は、違うのに、違うのに、バトミントンの羽なのに・・と心の中で叫びますが、少女の足はやっぱり操り人形のように不思議な力に引っ張られて森の中を男の子の後について進むのです。


ここからどんな森が広がっているのでしょう
少年のお母さんはどんな人でしょう
少年の家で何が起きるのでしょう
皆さんはどんな想像をしますか
ちょっとドキドキしますよね

こういった展開の面白さがほんとに魅力的です。次どうなるのどうなるの?と先が気になるお話には他にこんな物語がありますよ
「うさぎやのひみつ」「べにばらホテルのお客」「三日月村の黒猫」「ハンカチの上の花畑」「月へ聞くはしご」


安房さんの物語は大抵短いお話が多いのですが、長いお話も少しあります。
異世界と現実の世界を行き来する猟師と娘達の物語
これは長編なので1冊で1つのお話です。
『天の鹿』
物語の主人公清十さんは、猟師で鹿撃ちの名人です
これまで沢山の鹿をしとめてきました。

清十さんには3人の娘がいました。
一番上の娘に結婚の話がでて、いい着物を買ってやりたい、そのために大きい鹿を撃ちたい、と思っていた所、見事な雄鹿がやってきました。
ところが、いつものように鉄砲を撃つ事が出来ません
そして声が聞こえたのです。
「通してくれ、代わりに、たくさんお礼をしよう」
清十さんうろたえました。
鉄砲もつてが震えて、口が渇いて
でもこんな事で驚いてたまるかって
山には不思議な生き物がいるのは当たり前だって考えてもう一度しっかり鉄砲を持って構え直したその時
鹿がまた厳かな声で言ったのです。
「通してくれ」
「そのかわり、あんたにすばらしい宝ものをあげるから」
三人の娘達の事を考えると精十三の頭の中は宝物の事でいっぱいになります
清十さんは聞きます
「どこにあるのか」ときくと鹿はこんな事をいいました
「もうすぐむこうのはなれ山で鹿の市がたつ。夜になるとあの山には沢山の鹿がそれぞれ自慢の品ものをもって集まってくるのだ。」
「ほうらもう灯がともっている」
はなれ山の方をみると青い小さな灯がまるで星のように集まって、そのまま美しい冠のように見えるのです
鹿が清十さんの事等忘れたように歩き始めたので
慌てて
「待ってくれ、つれてってくれ、宝物をわけてくれ」と追いすがります。
清十さんは鹿の背にのって
鹿の市に連れて行ってもらいます。

鹿の市の入り口の前で鹿は自分は疲れたからここで待っている、ひとりで行くように言われます。
鹿の市では、どれも金貨1枚の値段で、なんでも好きなものを一つ買えるそうで
精十さんは鹿から金貨を1枚もらいます。
鹿は1時間で戻っておいで、戻ってきたらまた村まで送ってあげよう
と言うので清十さんはひとりで鹿の市に入っていきました


品物を選んでかえった清十さんを約束通り鹿は送ってくれるのですが
帰り道、鹿がこんな事をききました
「昔、鹿のキモ(肝臓)を食べたのはあんたの三人の娘のうちのどれだね?」
清十さんはどの娘だったかという事すっかり忘れていました。

<本文朗読>
鹿は「ほんとにわすれたのかい」と
さびしそうにつぶやくと後は黙って走り続けました
鹿の心が悲しみに震えているのを、清十さんは感じていました。



このあと3人の娘達がそれぞれに鹿の市へこの鹿に連れられていく事になります。

鹿が清十に「鹿のキモを食べたのはだれ?」と聞いたのはなぜなんでしょう
鹿の心が悲しみに震えていたのはなぜなんでしょう
鹿の市ってなんなんでしょう

娘達はどうなるんでしょう

驚きの結末がまっています。幸せになって良かったね、と思うかもしれない
でもなんて可愛そう、とも思うかもしれない。
そんな正反対の感想を抱かせてしまう、すごい物語だなあって思います

不思議な世界の物語の魅力が詰まった作品が
「花豆の煮えるまで」小夜、という女の子が主人公なのですが小夜は人と妖との間に生まれた子供です。その出生の秘密から物語は始まって、そう言う子なので人として暮らしているんだけれども小オニや木の精等との交流が生まれるんですね
この物語連作短編集、というって小夜を主人公にしたシリーズなんですが、読み終わった時にもっと小夜の世界にいたいって思った作品です。

妖とか昔話に良く出てきますね
昔話ではよく欲張りな登場人物が最後に罰が当たるというよう流れが決まっていて、こちらもそう言うお話なんだけれども
最後まで読んだときモグラの心が胸に迫って、なんとも可哀想な気持ちになってしまう、これも安房山ならではの物語です。
『もぐらのほったふかい井戸』
とっても賢いモグラの子、モグ吉。

ある日モグ吉はキラキラ光るものを見つけます。これは人間の使うお金だとわかったモグ吉は地主さんの元へ行き土地を売って欲しいと頼みます。
地主さんは小さな土地を売ってくれました。
自分だけの土地。嬉しくて、どう使おう、色々考えます。
そして最後に井戸を掘る事を考えました。

<本文朗読>
きっととびっきりきれいな水がくめるぞ
井戸水は美味しいから
仲間がぞろぞろのみにくるぞ、ああそれがいい、それがいちばんいい。
モグ吉はそう決めました。



さっそく、井戸を掘りはじめました。
それは、いく年もかかる根気のいる仕事でした。
モグ吉はとても辛抱強いモグラですから何年でも我慢しました。
とうとう井戸が出来上がった時もぐ吉は子どものモグラではありませんでした。もう大きなりっぱなモグラになっていました。
やっと井戸をほりあげたその日、モグ吉はこう思ったのです。

<本文朗読>
「ずいぶん苦労したな。だけどこの苦労は一体誰のためだったんだろう。畑の仲間達に美味しい水を飲ませてやるためだって?とんでもない
これは俺自身のためなんだ。そうだそうだ。おれはこの井戸水をもとでにして、どっさり金を貯めて、また地主の所へ行こう。そして今度はこの十倍も百倍もの土地を買おう」


井戸水一杯で銀貨一枚で売り始めると
美味しい井戸水の話は畑中に広がり、みんなこの水を飲むために、競争で人間の落とした銀貨を拾いました。
モグ吉はどんどんお金持ちになり、首にたまっていく銀貨をぶら下げました
ある日、怪我をした子ネズミが傷を洗うのに、お水を使うのですがお金を持ってなかったんです。それでモグラは三日間働いたら、水代はただにしてやるよ、というんですね。
1日目の夕方、子ネズミに誘われて井戸の中を見るんです
井戸の底に1枚の赤い夕焼け雲が浮かんでいて、モグ吉は
なんて奇麗なものが自分の井戸の中にあるんだろうと日が暮れるまで覗いていました。そして2日目の晩、子ねずみがまたもぐ吉を呼びます
「おじさんごらんよ、井戸の中にお月様がある」
これを聞いてモグ吉はどうかする程驚きました。
しばらくたって子ネズミはいいました
「ぼくわかった。おじさんの井戸の中には、空があるんだよ」
この時もぐ吉はふと息をつくのさえ苦しいような気がしてきました。

なぜ息をつくのさえ苦しいような気持ちがしたのでしょう
ここからモグ吉の心情の変化が描かれていきます
最後は昔話と同じように罰が当たるような展開になっていきますが、皆さんはどう感じるでしょうか


すごく可愛いお話もあるんですよ
なんてかわいらしい世界なんだって思いました
『とうふ屋さんの話 ねこじゃらしの野原』
谷あいの町のとうふ屋さんには、さまざまなお客がやってきます。すずめ、ねずみ、きつね、木の精、そしてもっとふしぎなものまでも
どのお話も、どんな世界が広がっているのかと
楽しみに読みました。
6つのお話が入っています。

「すずめのおくりもの」紹介しましょう
このお豆腐屋さん大変働き者です。
朝早く起きてお豆腐を作ってを自転車に積んであちこち売りにいって
月に1度だけお休みするんですね
その日だけは寝坊してゆっくりするんだけれども、そのお休みの日の朝早く、まだ夜明けの時刻に
店のガラス戸ががたがたなって、幾人もの甲高い声が
「おはようございます」「おはようございます」
しょうがなく起きて戸を開けるとなんと、呆れる程沢山の雀が一列に並んでかしこまっていたのです。
そして雀達の前には袋がひとつおいてあって
こんな風にいうのです
「ご無理は承知でおねがいにきました」
「特別のお願いです」
雀の前に置いてある袋に入っている大豆を使って小さいとうふを一丁作って下さいっていうのです。

お人好しのとうふ屋さんは引き受けますが、とうふ作るにはしばらく豆を見ずにつけとかなくちゃならないからお昼過ぎにまたおいで」と豆を水につけてとうふ屋さんはまたお布団に入ったんですけどね
せっかちな雀達は1時間おきにやってきて
「とうふやさーん、豆はやわらかくなりましたかー」
「そろそろできますかー」って。
とうふ屋さんはその度に店に出ていって「まだまだ」って言わなければなりませんでした。
昼過ぎに豆が柔らかくなりました。
雀達がまん丸い目をして見つめてるんです。可愛い過ぎるでしょう。お豆腐屋さんもそんな雀達に見学していいよと小さなお豆腐を1丁作ります。 
やれやれと一休みしようとすると
雀達が一斉に甲高い声を上げました
「とうふやさん、まだまだ、仕事はおわりません」
とうふ屋さん驚いてひっくりかえりそうになります。
どんな事をするんでしょうね
とっても可愛くて素敵なお話が続きますよ
このとうふ屋さんにくる生き物達と繰り広げられる安房ワールド、
この世界に入り込めたらほんとに楽しいなあと思います。

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