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「with you ウィズ・ユー』濱野京子


☆☆☆☆
中学三年生の悠人は、高校受験を控えている。優秀な兄・直人や、家族を置いて家を出ていった父親、悠人でなく直人に大きな期待をかける母親、といった家族のなかで、自分の存在意義を見出せない悠人は、日課にしていたランニングの途中、公園のブランコに座る少女・朱音と出会う。どこか影のある表情の朱音に、次第に惹かれていく悠人。朱音が、病気の母親の介護や幼い妹の世話、家事をひとりで背負う“ヤングケアラー”であることを知った悠人は、彼女の力になりたいと考えるようになるが……

母親の介護に携わる“ヤングケアラー”の少女・朱音に恋をした中学生・悠人の物語を通して、「誰かを大切に思うこと、社会へ目をむける機会」を読者に提供する児童文学です。
悠人は家にいたくない感情にいらだつ少年
塾に行かない日、週3日夜に走る


父は収入の半分を家に入れると約束して家を出て
3駅程離れた所にアパートを借りて暮らしている
そこをしょっちゅう訪れる女性がいる
母は週に4日、非常勤公務員として市役所で働いている。
元々正規の公務員だったが、子どもができて
多忙になった父の要請で退職、そのことをずっと後悔していた

優秀な兄がいて両親の期待と愛は兄にそそがれていると感じている

だから
なんとなく公園に一人いる少女も
寂しさを抱える自分の仲間のようで
気になったのだ。
やがてそれは悠人の想像を超えて厳しいものだと知る。

彼女の母親は仕事中くも膜下出血で倒れ、後遺症が残り鬱症状もある
父親は単身赴任。

朱音の家は高級なマンションに住んでいて
お金に困っている訳ではない。
けれど母親はほとんど動けないときも多く
妹の世話と家事一切を朱音がやっている
父親が帰ってくると母の調子よくなるので
父親はあまり状況をわかっていない。
朱音も友だちや先生に家の事情を話したくない

こんな閉じた状況は子どもを孤立させる
悠人がその状況を役所の福祉関係の部署にいる母親に話した事で
ヤングケアラーという言葉と実態を知る
なんとか役に立ちたいとの思いの純粋さ

相手の事を思って
夜公園で会う15分だけが自分たちの時間、って
いいなあ
それぞれに頑張らなくてはいけない事があって
それを大事にし合える
その上で相手の事を考えられるって。

ヤングケアラーを描いたものに
去年のマイベストにもいれた
レモンの図書室を思い出した
そこではソーシャルワーカーの介入で主人公の女の子が
「大人を世話するこどもの会」に参加したりするのだけれど
子どもが親の世話をする、という状況は昔からあって
でも日本ではそのための福祉はあまりないのかもしれない
ヤングケアラーという名称が知られて、そのための保護プログラムが
日本でも考えられるようになるといい
むこう岸の少女もヤングケアラーだった
彼女の場合は貧困の問題が大きくて、子どもの貧困を取り上げたものだったけど


物語を通して、子供たちが
社会の問題を知ったり、考えたり
それは、児童文学の一つの役割

悠人の家は父親の収入が減って家に入れるお金も減ったので金銭的に苦しい
夫が仕事をするために
子育ては母親の仕事と、正規職を離れざるを得ない状況
そしてその結果とても優秀そうな母親は非正規で収入が少ない

そういう背景の問題も
世の中不公平だ!って主人公と一緒に叫びたくなる
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