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『卒業旅行』小手鞠るい


☆☆☆+
シングルマザーの母親の仕事の都合で、ナナは中学卒業後に渡米した。高校生活は4人の仲間とバンドを組んで、演奏に明け暮れる。日本の大学に入学を決めた彼女は、4人と卒業旅行を企画するが、ある事件がおきて計画は中止となる。
それから1年半がたち、事情を知らされないナナは、いまだ果たせていない卒業旅行を実現するため、再びアメリカに向かい、バンド仲間一人一人を訪ね歩く。
『ある晴れた夏の朝』の著者が、若者の姿を通して現代のアメリカ社会の実相を描くYA小説第2弾。
バンド名は「オン・ザ・ロード」(ジャック・ケルアック著作より)
本好きなノエルの発案
バンド名を決めて、ウッドストックのロックフェスの話題で盛り上がり、
高校最後の夏休みに卒業旅行としてウッドストックへ行こうという話になる。
メンバーは、キーボードのナナ、ドラムのニック、ギターのイーサン、ベースのノエル、ボーカルのクロエ
ナナは高校4年の春日本の大学受験のために帰国。卒業旅行はその年の7月に計画されていた。
けれどその約束は果たされる事はなく夏は過ぎ翌年の五月、ナナはニューヨークへ向かう。
果たす事の出来なかった約束を果たすために。

再会したクロエは痩せて変わり果て悲しみに沈んでいるよう
マンハッタンで暮らしながら歌とダンスの勉強をすると言っていた彼女はいない。
つきあっていたイーサンとも別れたらしい
一緒の旅には行けそうもないと断られる

イーサンは会社員となって働いている
ギターは売ってしまったと言う。
そしてイーサンも旅は出来ないと。
クロエの顔を見るのがつらい、二人でいると辛くなる、と。
故郷の町へも帰れない。責められるだけだし、ウッドストックへも生きたくても行けない、と。

ナナにとってもホームタウン、ニックの住むカントリーサイドへ
ニックの家族からの大歓迎を受ける

やがてなぜ、その事件が、彼らにこれほどの傷を負わせてしまったのか、が明らかになっていき
ナナは、ニックの両親や妻と
アメリカの銃社会の問題
死刑制度の是非について語り合う


国家が法の下に人を殺す事は一見正当な刑罰のように見えるかもしれないが、
人が人を殺している事に変わりはない

亡くなった人の家族の無念はどうなるのか
罪に罰が伴わなかったら、それこそ野蛮

死刑では犯罪を防げないという数字だってでている
先進国の中で死刑を実施しているのは
日本と、アメリカの一部の州だけ

日本が執行を続けているのは何らかの必然性があるわけでしょう?つまり、日本では死刑が有効に機能しているってこと?

答えの簡単にはでない問題を小説の中の人物たちが議論するのは
「ある晴れた夏の朝」にも似ていて
読み手は自分はどう考えるかと問いながらの読書となる

重い話題で
ラストは急展開過ぎるようにも感じたけれど
彼らは若いのだから
やっぱり前に進めないとね

良い物語でした。
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