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『あしたの幸福』いとうみく


☆☆☆☆
父の死を受け、親戚の家に世話になりたくない雨音は、ふりきった選択をする。それは幼い頃に家を出た産みの母に保護者になってもらうこと。「利用」「生きる術」とわりきり、自分の居場所を守ろうとする彼女がさわる幸せとは?
続けて読んだ本と、内容がリンクし合うことってよくある
続けて読むから、似た所をより感じちゃうのかな
今回は
主人公の実母が、感情に乏しい人だったのだけれど
『アーモンド』
のユンジェ(失感情症とも言われるアレキシサイミアと診断された少年)と重なって
2人だけの家庭で主人公の少女が親を失い、親を名乗る人と暮らす、という設定が
『父親を名乗るおっさん2人と私が暮らした3ヶ月について』の設定と重なって。

父子家庭で中2の雨音
突然の事故で父広希が亡くなり、通夜の席では親戚たちが
誰が引き取るかでもめている

父親はもうすぐ結婚の予定で、婚約者の帆波さんと一緒に買い物に行って事故に巻き込まれ、帆波さんは骨折はしたけれど命には関わる怪我ではなかった。
葬儀から数日後に
「お困りでしたら、私と住みますか?」と国吉京香さんという人から電話がかかってくる。
実は彼女は雨音の実母。
雨音は、自分が赤ん坊の時に出て行ってそのまま離婚した、と聞いていて一度も会った事はない。
雨音の事を心配する洋子おばさん(パパのお姉さん)が、パパの机に残っていた古い京香さんの写真の裏に書かれていた住所にダメ元で連絡していたのだ。
雨音のおばちゃんが「欠陥人間」と呼んでいた京香さんはとても変わった人。
けれど、雨音はパパと暮らした家を離れたくなくて
一緒に暮らす、と決める。

京香さんは、思った事をそのまま言ってしまう人。傷つけよう、とか攻撃しようと思っている訳ではないが、そのせいで他人とうまくいかない事の多いタイプ。

「わたしにはあなたを生んだ責任がありますから、成人までは保護者を務めさせていただきます」なんて人間味のない言葉で伝える。
そして、臨機応変が苦手なので家事もキッチリ分担を決める
洋食屋でコックをしていて、作る料理はとても美味しい。
感情に乏しくて、でも一生懸命になんでもやる人

小学生の時から一緒の廉太郎はとても優しい
雨音の事をとても気遣う
廉太郎のお母さんは三年前にうつ病になって、だから廉太郎は母親の代わりに買い物をしたり家事をしている。
部活も休みがちになるほど。
そしてとうとう辞めてしまう
離婚にもなってお父さんも出て行って。

帆波さんから電話がきて、お線香をあげにいきたい、と。
そしてそのとき言い出したのは
雨音たちと一緒に暮らしたい、ということ。
帆波には帆波の理由があって。

京香さんのことは帆波が広希から聞いていて
けっきょく、おばあちゃんに理解されなくて、ひどい事を言われ続けて
2人の幸せのためには自分がいない方がいい、と判断しての事だったようで。

帆波と京香はとてもいいコンビ

京香の働く店での雨音の誕生日祝いシーンはとてもいい。
そうだったの!の事実が明かされて
雨音も泣いたけど、読者もココは泣いちゃうな。

雨音の周りの人達がみんな良かった
帆波も京香さんも、京香さんの務める店のシェフも廉太郎も。
廉太郎も、彼を大事に思う大人に守られて、ちゃんと成長していけるといいな。
子供の周りには、頼れる大人が必要。
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