fc2ブログ

「夢の上」多崎礼

夢の上〈1〉翠輝晶・蒼輝晶 (C・NOVELSファンタジア)夢の上〈1〉翠輝晶・蒼輝晶 (C・NOVELSファンタジア)
(2010/09)
多崎 礼

商品詳細を見る

☆☆☆☆
内容(「BOOK」データベースより)
夢売りは請う。「私は、夜明けを所望します」夜の王は答えた。「ならば、見せて貰おう」夢売りが取り出したのは夢の結晶。その中心が淡い緑の光を放ち―「これは結晶化した女の『夢のような人生』」地方領主の娘として平凡に生きるはずだったアイナの物語。
「彩輝晶」は叶うことのなかった夢の結晶。
夢売りという男のもつ彩輝晶の宝玉は6つ。
若草萌ゆる春の野原のような「翠輝晶」
深い海の様に暗く凍てついた「蒼輝晶」
炎のように激しく燦めく「紅輝晶」
蠟燭の光のように仄かに揺れる「黄輝晶」
真昼のように太陽のように目映く輝く「光輝晶」
暗夜を凝縮したような「闇輝晶」
玉座に座る王に夢売りは
その宝玉に込められた物語を再現する。
この本では「翠輝晶」と「蒼輝晶」
全3巻の物語となる。
「翠輝晶」は
「結晶化した女の『夢のような人生』」と語り始め
「蒼輝晶」は
「夢を見ない男の『沈黙の誓い』
と語り始められる。
どちらも同時期、同世界の物語で
登場人物も、主人公は違うが、リンクする。

「翠輝晶」はサマイア神聖教国の小領主の娘アイナの視点で語られる。
アイナが十諸侯のひとつ、ツアピール家の嫡男オープに見初められ、結婚した所から始まる。
穏やかな日々は長くは続かず、
オープが職務の途中、死影に傷を負わされ、その死影に憑かれる。その先には死が待つのみ。
オーブを救いたい一心で死影と共存して生きていくこと(影使い)を決めるアイナ。
影使いは、影を意のままに使うたびに、その代償として、自分の時を与える。
だから、影使いたちは早く歳をとり、
やがて体が結晶化して砕け散る。
アイナとオープはオープに憑いたズアラという死影を共有する。
影使いは邪教徒と信じられているため自分たちは死んだ者とし、
家族と別れ、旅に出る。
やがて時はたち、お互いのゆびの結晶化が始まった時
故国に還ろうと決意し、故国の影使いたちの隠里へ。
その森で、サマーア神聖教国の第二王子アライス(王の血統に女は生まれないはずだが、女として生まれ、男として育てられたが、招待を知られ、神聖騎士団に追われていた)を助け、
彼女と親子のように過ごすようになる。
やがてアライスは母のしりあいでもあるという尊敬する女騎士 イズガータ(ケナファ騎士団長)のもとへ行き騎士になる決心をする。
「私はここに戻ってきます。
この国を救い、影使いたちが平和に暮らせる場所を見つけて
戻ってきます。
ですから、母上。それまでご健勝でいらっしゃると御約束ください。」

そして4年。
アライスは戻ってきた。二人を弟のエシトーファのもとに連れ戻すため。
ケナファ騎士団のアーディン副団長と同僚のダカールとともに。
アライスがイズガータのお供でツアピール家を訪問した時(イズガータがエシトーファに政治的求婚)、
森で、父母と慕った二人がツアピール侯エシトーファの兄だとわかり、
エシトーファは二人を連れ帰ったら求婚を受けると言ったという。

ラストは故国を守るため、最後の時を使い死影を使い
アライスが夢見る理想の国を見ることなく砕け散るのだが、
アイナの一生は幸せだったのだと思う。


「蒼輝晶」は「翠輝晶」でアライスとの再会のときに出て来るアーディンの視点で語られる。
第4身分のアーディンと第2身分のイズガータとの出会いから。
アーディンとイズガータの秘めた思いは苦しいけどかっこよくてすてきだ。
「翠輝晶」と、同じ時を語るので、同じ場面が出て来るけれど
いろんなことが、そうだったのか、ってわかってくるのは楽しい。
アライスの母ハウファとイズガータの関係とか。
もちろん、短編としてもしっかり独立している。

別世界へ旅立たせてくれる、そんなファンタジーです。


参考になりましたら、クリックおねがいします。

FC2Blog Rankingにほんブログ村 本ブログへにほんブログ村 本ブログ 読書日記へ人気ブログランキングへ

スポンサーサイト



Last Modified :

Comments







非公開コメント